大人になってから、仕事を通して今まで関わってこなかったタイプの人達とのコミュニケーションを取る機会が増えてくるかと思います。
その中で、相手の気持ちが理解できない場面や意思疎通が上手くいかなかったり、仕事上でのミスが多く、職場で自分の居場所が無くなってしまい困ったという経験はありませんか?
あまりの出来なさに『自分は社会から必要とされていないのでは?』などと思うことや『自分に向いている仕事はないのでは?』と思うこともあるかもしれません。
もしかしたら長年苦しみ続けていたその悩みの答えは、『大人の発達障害』かもしれません。
今回は仕事でのコミュニケーションに苦しんでいる方に向けて大人の発達障害の特徴を理解して、将来の不安を解消する為に今やるべき事や、これから社会で生き残るための施策について分かりやく解説します。
目次
大人の発達障害とは何か
大人の発達障害とは発達障害の呼び名の一種で、脳の未発達や神経の伝達が上手くいかずに社会生活が困難になる症状のことです。
大人の発達障害は、この症状が大人になってから発覚した場合『大人の発達障害』と呼ばれます。
発達障害を抱えると、人とのコミュニケーションや学習が困難になるなど、社会生活を送る上で様々な問題が生まれてきます。
発達障害は徐々に社会的に認知されてきていますが、まだまだ一人一人の理解が進んでおらず『単に甘えている』と捉えられる場面が多々あります。
また、発達障害にも色々と種類が分かれるので自分の性質を見極めて正しく対処していくことが重要です。
-
-
発達障害の人が仕事をするならIT分野が向いている理由と就労する方法
自分が発達障害と診断されていてこれから、どんな仕事に就こうか迷っているということはありませんか? 発達障害の方は仕事が上手くいかずに転職を繰り返してる方が多く、生活が安定せず貧困に陥ってしまう方や将来 ...
続きを見る
ASD(自閉症スペクトラム)
ASDとは、自閉症スペクトラム障害と呼ばれる発達障害の一種です。
ASDは神経の発達に障害を抱えており、コミュニュケーションや協調性が無いなど、対人関係を良好に保つことが苦手という特徴があります。
ASDは対人コミュニケーションが苦手であったり、限定的なものに興味を示すという性質があり、会話の中で相手の言葉の裏をくみとることが苦手であったり、特定の部分にのみ異常な興味を示します。
原因としては今のところ先天的な脳機能の異変とされており、親の子育てによるものではないことが判明しています。
ASDの症状
- 場の空気を読まずに自分中心な発言をしてしまう
- 自分のやり方やルールにこだわり、環境の変化に弱い
- 視線が合いづらく感情表現に乏しい
- 集団での活動や遊びが苦手
- 感覚に敏感、または鈍感
ASDの長所
- 決められたルールはきちんと守る
- 興味のある分野には秀でた才能を発揮する
ADHD(注意欠損・多動性障害)
ADHDとは、不注意や多動性、衝動的な行動をとってしまう症状のことを言います。
ADHDは幼い頃から症状が出る場合が多く、早い段階で対策を考えることができます。
ADHDは本人の症状の自覚と、周りの配慮が大事になってきますので、そのための環境づくりを早い段階で出来るようになっておきましょう。
しかし現状は上手くいかない場合が多く、症状を理解して障害と上手く付き合うための自分なりの工夫が必要になってきます。
ADHDの症状
- 飽きやすく、物事が長く続かない
- 忘れ物が多く、モノをなくしやすい
- 予定や手順を立てるのが苦手
- 気分の浮き沈みが激しく、突然落ち込んだり、元気になったりする
- 部屋を片付けたり掃除することが苦手
ADHDの長所
- 感受性が強く、言動を深掘りして考えることができる
- 新しいことへの追求欲が強くエネルギッシュ
LD(学習障害)
LDとは、『聞くこと』『話すこと』『読むこと』『計算すること』の能力が一般の人より困難になってします学習障害のことです。
LDは上記の症状のように、文章を読むことが苦手で読み間違えを多くしたり、言葉を上手く聞き取りすることが難しいなど社会生活を送る上で大変な場面に遭遇する場合が多いです。
ですので、努力が足りないと思うのではなく周りが、その方のペースに合わせて学習の手引きをしていくことが重要です。
例えば、文章の読み書きが苦手な方にはパソコンを使った文字入力に切り替えることや、他の方が代わりに音読してあげるということができます。
LDの症状
- 文字を読み飛ばして読んでしまう
- 言われた言葉を聞き間違えることが多い
- 形が似ている文字を見分けることが苦手
- バランスのとれた文字を書くことが苦手
- 算数などの計算をすることが難しい
発達障害グレーゾーン
発達グレーゾーンとは、発達障害のいくつかの症状を発症しているものの、診断基準を満たしていないため発達障害と認定されない状態のことです。
発達障害認定されないまま社会生活を送るため症状が『甘えている』、『怠けている』と勘違いされることが多く、本人も診断されないままモヤモヤとするため精神的なダメージを長い時間に渡って負ってしまいます。
また、生活が上手くいかないストレスから二次障害を発症してしまう場合もあり、引きこもりがちになってしまったり、睡眠障害や、うつ病を発症してしまう場合もあります。
発達障害を公表している有名人
発達障害でも、その特性を活かすことによって社会的に成功することができている有名人もいます。
一見すると発達障害はハンデと捉えられがちですが、自分の特性を理解して正しく能力を使うことができれば、人生を好転させることができます。
自分の能力を使い切って生きるか、使い切らないまま一生を終えるのかで今後の人生が変わってきます。
ここで紹介する方達は諦めずに試行錯誤を繰り返した結果、成功を勝ち取ることができています。
黒柳徹子
2001年発表の自著『小さいときから考えていたこと』で自身が発達障害の1つであるLDかもしれないことを公表した。自身の著書『窓ぎわのトットちゃん』を読むと、子どもの頃の黒柳がLDの子どもの特徴に当てはまり、「徹子の部屋」の女性ディレクターから、「お母さんたちの間では、黒柳さんはLDだってことになっているようですよ」と聞かされたことによる。黒柳自身LD関係の本を読めば読むほど、自分がLDであったらしいと思え、昔LDで、いま活躍している人という中に自分が入っていることを発見したと書いている
Wikipedia 参照
栗原類
自身の性格について、「根暗、孤独、みじめ」、「ひねくれている」、「用心深い、考え深い」と分析し、自身ではネガティブだとは思わない、と述べている。自身の魅力は、「物静かで、消極的なところ」と語っている。2015年5月25日、『あさイチ』生出演中、アメリカで過ごし始めた8歳の時に、発達障害の一つであるADD(注意欠陥障害)と診断されたことを公表した。
Wikipedia 参照
深瀬慧
高校中退後にアメリカンスクールに通い、アメリカに2年留学する予定だったが、言語や生活習慣などの違いからパニック障害に陥り、2週間で帰国した。帰国後、日本で精神病院に入院。現在は完治したが、精神病の治療薬の副作用に苦しんでいた時期があった。
Wikipedia 参照
トム・クルーズ
幼い頃から学習障害(LD、失読症(Dyslexia:ディスレクシア、具体的にはbとdが区別できなかった)つまり書かれた文字を読む上での障害を持ち、自身、障害者にかかわる映画(『レインマン』)や、この障害の理解を推奨するための映画(『デイズ・オブ・サンダー』)も製作主演している。また、新宗教であるサイエントロジーの活動(「勉強の技術」の実践)によりこの学習障害を克服したと語っている。この経験から学習障害児への支援活動にも取り組んでいる。2003年8月に、『ラストサムライ』の宣伝のために来日した際、首相官邸の小泉純一郎首相を表敬訪問、日本の若者たちにと『学び方がわかる本』(ニュー・エラ・パブリケーションズ・ジャパン(株)発行、ISBN 4-931223-22-2)を首相に手渡した。2009年1月、スペインの雑誌『XLセマナル』の中で、「誰も解決策をくれなかったけれど、大人になって、サイエントロジーの教育本を読んだことで完ぺきに読解ができるようになった」と語った。
Wikipedia 参照
スティーヴン・スピルバーグ
ユダヤ人であったほか、ディスレクシア(失読症もしくは難読症、学習障害の一種)のために同級生より読み書きを修得する速度が遅く、このためいじめも受けたこともあった。また、両親は離婚しており、これらのことが後の作品に大きな影響を及ぼすことになる。
Wikipedia 参照
大人の発達障害は治すことができるのか?
結論から言うと発達障害を治すことはできません。
治せないと分かってガッカリとするかもしれませんが、治療費という名目でお金を搾取されたり、『いつか治る』『絶対に良くなる』と信じて治療に時間を割くよりは、この事実を受け止めて前に進んで行くことが重要です。
人生の時間は限られています。もしも人生を豊かにして幸せに生きていきたいのであれば、まずは身の回りの環境を変えることから始めてみましょう。
環境を変えることは最初は不安かもしれませんが、しっかりと今後の計画を立てて突き進んでいけば心配に思うことは少ないはずです。
大人の発達障害が治せないと気付いた後に取るべき行動
自分が発達障害で、それが治せないと知った後に取るべき行動は、まずは自己分析を行いましょう。
『なぜ、自己分析?』と思われるかもしれませんが、分析をすることで自分の弱みと強みをハッキリとさせることができ、自分の立っているポジションを客観的に見ることができます。
その上で今後の生き方の計画を順序立てて考え、人間関係をどうしていくか、仕事をどうしていくかということをしっかりと考えることができます。
大人の発達障害の人に向いている仕事
大人の発達障害の方はコミュニケーションやマルチタスクが求められる仕事が苦手な為、どうしてもできることが限られてしまいます。
何かを機械的にこなす職場では、ほとんどコニュニケーションは必要ありませんが、楽である反面、将来性に欠けていますし自分自身の成長に繋がりません。
しかし今の時代はインターネットが発達して、会社に出社しなくても仕事ができたりと働く環境を自分でコントロールできるようになってきています。
特定の分野の知識を伸ばしていくことができれば、フリーランスとして生きる道も確立することが可能ですし、今後の自己投資にもなります。
もしも将来、今の仕事を続けられているかどうか不安で、今後自分を成長させるためにスキルを磨きたいという方は、ここで紹介する仕事に挑戦してみる事をオススメします。
発達障害でも出来る仕事
- ブロガー / ライター
- せどり / 転売
- WEBデザイナー
- WEBエンジニア
- イラストレーター
- Youtuber
- アプリの個人開発
- 投資家
- シンガーソングライター
- 漫画家
IT・Web分野に特化した発達障害専門の就労支援サービス
ITやWebなどの、これから伸びてくる分野で仕事に役立つ知識を身に付けたいと思っているけど、お金に余裕が無くてスキル習得の機会を逃してはいませんか?
『ジョブトレIT・Web』というデジタルハリウッドと提携しているサービスを利用すれば、現在離職中で発達障害がある18〜56歳の方であれば受講料は¥0です。

大人の発達障害の人が幸せに生きる為に、どう対応すべきか
大人の発達障害の方が今の社会で幸せに生きるためのコツは『生活をシンプル』にすることです。
発達障害の方は脳内の使える容量が限られているため、考えることや悩みを少なくしなければなりません。
そのために、まずは人生の時間の中で大部分をしめる仕事を楽しくしていく為にどうするべきかを考えなければなりません。
仕事が上手くいき余裕が出てくれば、それ以外のことにも目を向けることができるようになり、人生全体の幸福度を上げることができます。
自分一人でフリーランスとして仕事をしていく場合は自分に向いている分野をしっかりと見極めて、必要な技術や手順を洗い出してスキルを磨くようにしましょう。
それ以外で、どこかの会社に属して働くのであれば、必ず発達障害に理解のある職場や、規則が緩めな職場を探すようにしましょう。
人生を好転させるには闇雲に問題に立ち向かうのではなく、しっかりと問題に向き合い分析と検証を繰り返すことによって良い結果に繋がっていきます。
例えば下のリストのように自己分析を行い、問題の洗い出しをした上で自分にできる事を考えて挑戦していくことによって徐々に人生が好転していきます。
人生を好転させるループ
- 自己分析 (問題の洗い出し)
- 自分がやりたい事、できる事を考える
- スキルを磨く
- 実際に挑戦してみる
まとめ
今回は大人の発達障害の方の今後の生き方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
発達障害などの神経系の障害は完全な治療法が存在せず、人によっても症状が異なるので、自分の特性を理解した上で正しく付き合うのが最も最善です。
あくまで、症状を治そうと思うのではなく付き合い方を変えて、効率よく自分のペースで生活を送れるようにしましょう。
今の時代はインターネットが発達して、人とそこまで関わらなくても仕事や生活をすることが可能です。
今現在、発達障害で仕事に苦しんでいる方や、人間関係に苦しんでいる方は自営業やインターネットを活用したビジネスを模索することをオススメします。